とある小児科医の読書感想文

しがない小児科医が気ままに書いた読書感想文

赤ちゃんはことばをどう学ぶのか

 

赤ちゃんはことばをどう学ぶのか (中公新書ラクレ)

赤ちゃんはことばをどう学ぶのか (中公新書ラクレ)

 

「小さなうちに母語以外の言語に触れさせておけば子どもは‘’母語と同じように‘’その言語も楽に素早くネイティブ並みのレベルで身につけられるのではないか」

みなさんそう思っていませんか?

自分も少なからずそう思っていました。

適当に英語のビデオでもみせといたらええか、まではいかなくとも、英語圏で生活すればすんなり英語をおぼえるのではないか…

しかし、赤ちゃんたちは我々の想像をはるかにこえた努力の末言語を身につけている!

英語教育、バイリンガル教育に関する常識を打ち破る一冊です。

 

 

第一章 赤ちゃんは本当に天才なのか

第二章 まず、聞く

第三章 「声」から「ことば」へ

第四章 子どもはあっという間に外国語をおぼえるという誤解について

最終章 必要だから、学ぶ

という5本立てです。

まずは、あかちゃんはそもそもどのようにして言葉を身につけるのかを研究結果などをもとにしながら解説。子どもは見えないところでとても努力していることが分かります。そもそも1単語言えるようになるまで1年…

衝撃的だったのは音を学ぶためにはビデオやオーディオで聞かせることにはさほど意味はなく、しっかりとしたコミュニケーションが必要。息子のために家で英語のビデオ流したりしてたのは意味なかった…

 

考えたことも無かったのですが、指さしがわかるまで実は結構時間がかかるのですね。そして指さしの意味を理解し徐々に単語を覚え始める。ただし単語の意味に関しても大人の常識はこどもには通用しません。つまり単語を話すまでにもこどもは大変な苦労をしているということです。2歳で200語程度、大人なら2年あればどれだけ多くの単語を覚えられるでしょう

 

4章ではなぜ我々はこどもはあっという間に外国語を覚える、誤解!しているのかの解説です。

 

年齢が低い子供のほうが、現地語を身につけるまでの期間が長く、また母語を忘れるスピードも早いということが分かっているそうです。小さい子供を新しい言語環境に放り込むときは辛い、ストレスのかかるイベントであることを理解し、しっかりとしたサポートが必要なようです。

 

 

読み終わり、何か自分の中でスッキリしました。

今まで何となく疑問に思っていた事、ちょっと変じゃないかと思っていたことがすっきりしました。

自分がフランス語を学ぶ過程で日本語の能力、英語の知識がとても役に立ったこと、必死で英語で話しかける母親に日本語で答える子ども、0歳から英語教室に通うのに話せない子ども…

一読の価値ありです!

 

英語教育産業に騙されないように、頑張りましょう