投資型医療
前回よりかなり日があいてしまいました…
この間もいろいろな本を読んだのでご紹介します!
研修医の頃、血液内科をローテーションしているときに上級医から「この抗がん剤は一本◯十万円するんや」とか、救命救急センターてでも「一晩透析まわしたら◯万円するんやで」と教えられて何となく医療費この先大丈夫なのかという疑問はずっと持っていました。
最近では一回の治療で何千万円もかかる薬剤の保険適用の可否が話題になっていたのは記憶に新しいかと思います。
そんな中たまたまアマゾンでみつけたこの本を読んでみました!
本書ではまず現代の医療において糖尿病や骨粗鬆症などで起こりうる
結末の具体例(架空の症例)で示し読者を引き付ける。
現在の日本の医療費、糖尿病の治療費(1.2兆円!!)などの概説。
その後、国民健康保険の仕組みなどを交えて医療費が支払われる仕組みを説明する。
「あなた自身は健康でも、不健康な生活にどっぷり浸かった隣のメタボの医療費も、幾ばくかは負担しなければならない」
「医療という仕組みの中で、私たちは、常に隣に住む誰かに対しても、ある種の責任をかかえながら生きている」
よく考えてみれば当たり前ですが、改めて言われるともやもやしますよね。研修医のときにみた分かっていながら糖尿病を何十年も放置して脳梗塞を発症し半身麻痺になった患者さんを思い出しました。
そしてさらに病気になるまで手を打つことのできない現代の医療、トラブルシューティング型医療の問題点を暴きます。ワクチンや、出産が保険適用外であるのもこの考え方によるものです。
引用します
健康という資産を守る責任は、最終的には自分自身にある。そして、「時すでに遅し」という状況に陥らないためには、元気なうちから投資的な健康志向で行動する必要がある。この二つは、すべての受益者が認識すべき重要なポイントだ。
その通りです!
一人ずつがまずは知ることから始めなければなりません。
ぜひご一読を!
個人的にはまず真面目にジムに通おう…
国家と教養
今回は「国家と教養」です
大学生の時に読んだ「国家の品格」が衝撃的であり、感銘を受けました。本作はその作者でる藤原正彦先生の最新作です。
最近、「教養としての…」などのタイトルで教養をテーマにしている本を多く見かけますが、教養とは?との問いに答える事ができる人は多くはないのではないでしょうか。
自分も教養とは、歴史、哲学など豊富な知識を身につけることかな、程度の認識でした。
本書では第1章から第4章まで欧州で教養が産まれ、どう育ってきたかの歴史的背景を紐解きます。また、ドイツ・フランス・イギリスなど各国における教養の背景の違い、またそれがどう政治(特に近代世界史)にどう影響を与えてきたのかを解説します。
なかなか日本の話が出てきません。
ようやく第5章から日本の教養についてのお話が始まります。
明治時代〜現代まで日本人の教養はどのように変遷してきたのかを概説しています。
第6章ではこの変わりゆく時代に我々はどのような教養を身につける必要があるのかが述べられています。教養の4本柱は社会教養・科学教養・人文教養、これに加えて大衆ん文化教養であり、これらの習得のためには読書は必要不可欠。確かにその通りだな、と納得です。自分は父親が読書家であり、おそらくその影響で本を読む事が幼い頃から習慣化されていました(だからと言って自分に教養があるかと言われると…ですが)
普段、特に感謝を表明することはなかなかないですが、この点は本当に感謝です。
筆者の主観も多分に盛り込まれているとは思いますが、自分にとっては非常に勉強になりました。医学部でも1年時に一般教養と呼ばれる科目がありました。なぜ医学部に入って訳のわからない言語やその他の科目を学ばなければならないのか、医学を学びにきたのに!と思い試験は過去問を丸暗記で何の面白みもありませんでした。今思えばエリートであるはずの医師が教養を身につけるのは必須であるような気もしますが、むしろこれは高校生の段階で学ぶべきことなのかもしれませんね。
日本が売られる
本日ご紹介の一冊はこちら
"日本が売られる" です!
先日、改正水道法、改正入管法が可決されたこともありホットな話題満載の一冊です
この一冊に出会うまでは、何となくニュースで耳にする程度で、水道のこと、移民の問題など深く知ることはありませんでしたし、何でも民営化というと何となく良さそうな気がする、というくらいの認識でしかありませんでした。恥ずかしながら…
本書ではまず水を始め、次々と売られていく日本の資産を紹介していきます。
水、土、種…(タネの章で扱われる遺伝子組み換え食品の話、種子保存の話は映画『パパ、遺伝子組み換えってなあに』https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwiP57CJgZTfAhUMIIgKHYQnA8cQFjAAegQIDxAB&url=https%3A%2F%2Fwww.uplink.co.jp%2Fgmo%2F&usg=AOvVaw1sgCSC2FvfZtoTt2GYjj2z
も非常に参考になります)
この章の最後では築地がなぜ解体されたのかが紹介されており、衝撃的でした
引き続き第二章では売られていく日本の未来、労働者、学校、医療、個人情報について述べられています。
労働基準監督署の民営化、カジノの真の狙いは日本人、国家戦略特区の罠…
自分の様な一般庶民が一人でできることはないとは思いますが、だからといって無関心で、無知でいいということではないということを認識しました。
まずは問題を知る、自分の意見を持つ、考えて選挙に行く、という地道な行動から政治を変えることができるかもしれません…
今だけカネだけ自分だけ、の強欲主義に食いつぶされない様に勉強しましょう
嫌われる勇気②後半
後半も青年と哲人の対話は続いていきます。
第4-6夜
前半の最後は課題の分離についてのお話でした。
しかし課題の分離は自己中心的な個人主義ではないのか?
といところが後半の始まりです。
幸福な対人関係のあり方を考える最も重要な指標である共同体感覚について話は進みます。共同体感覚とは簡単にいうと、自分の居場所がある、と感じられることです。
共同体は家庭、学校、会社のみならず地域社会、地球、宇宙と無限です。困難にぶつかった時、より大きな共同体の声を聞くことが原則とされています。
この共同体感覚を持つために必要なものが自己受容、他者信頼、他者貢献の3つになります。この中でも他者貢献に関して、自己犠牲ではなくむしろ自分の価値を高めるためにすることであると説いています。一方でこの他者貢献には、他者からの承認は必要ない、そう哲人は言います。なぜなら…
最終的に、いま、ここに生きる
未来でも過去でもなくいまここで生きることの重要性を説明してくれます
書ききれないほどの名言、心に突き刺さる文章に溢れています。
おそらく咀嚼しきれていない部分が多々あるので、今後繰り返し読みたいと思います。何度も読んで自分のものにしたくなる、そんな一冊でした。
嫌われる勇気①前半
3冊目は言わずと知れたベストセラー、”嫌われる勇気”です
近年アドラー心理学を取り扱う書籍が多く気になってはいましたが、先日ようやく読了致しました。目から鱗、衝撃、mind shift...読んで良かったと心から満足しています。
本日は第一夜〜第三夜まで。
この本では青年と哲人の対話を通して、アドラー心理学の教えを理解していく形になっています。青年の悩みへの返答を通じて、どうすれば幸せになれるのか、どうすれな人は変われるのか(なぜ変われないのか)という問いへの答えを探していきます。
まず第一夜で、哲人はトラウマのを明確に否定します。
アドラーは人は「自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである」つまり過去の経験にどのような意味を与えるのかによって生を決定している、と哲人は解説します。その議論は最終的に「目的論」へと辿り着きます。と、ここまで読んだ時点で、かなりの衝撃を受けました。まさにそうじゃないですか… 原因論に立脚するならば、同じイベントが起こった人には同じようなトラウマが残るはずですが、必ずしもそうではない。
第2夜で哲人は言い切ります、全ての悩みは「対人関係の悩み」であると。その後劣等感を例に議論が白熱していきます。劣等感については、客観的な事実ではなく、主観的な解釈である、お前の顔を気にしているのはお前だけ…
際3夜で哲人は、アドラー心理学において承認欲求は否定されていることを述べていきます。生理的欲求や、安全に対する欲求が満たされた現代社会において、人間の欲求の大きな部分を占めるであろう承認欲求を否定する、さらに先を読み進めたくなりました。他者もあなたの欲求を満たすために生きているわけではないし、自分もまた他者
の欲求を満たすために生きているのではない。これを理解するために、哲人は「課題の分離」について話し始めます。他者の課題には介入せず、自分の課題には誰一人として介入させない、これが対人関係の悩みを解決する手がかりであると…
どうでしょう、皆様も読みたくなってきたのではないでしょうか
次回後半に続きます…
文化の違い②
前回に引き続き"The Culture Map(異文化理解力)"です
第5章で日本の特異的な文化が取り上げられていたので、ご紹介したくなりました。
この章では組織や企業においてどのように意思決定がなされていくかが述べられています。意思決定の背景にあるのがHierarchiacal(ヒエラルキー主義)なのかEgalitar
ian(平等主義)なのか。そして意思決定はConsensual(合意)なのかTop-downなのか。その他の章と同様に横軸のスケールで示されています。
日本の何が特異的なのかというと、通常、Hierarchialな社会ではtop-downで、Egalitarianな社会ではConsensualだそうですが、日本はかなりHierarchialですが、意思決定は相当Consesualであるということ。日本独特の稟議、会議の前の根回しなどが取り上げられており、非常に興味深かった。
最も、医師の世界は超Hierarchialで意思決定はTop-downなような気がするが…
文化の違い
第2冊目ご紹介
今やgobal化が進み、あらゆる国の人々と仕事をする可能性があります。
自分は海外旅行も好きで、いろいろな文化の違いなどに驚いたことは多々ありましたが、ここまで深く考えたことはありませんでした。
今回ご紹介するのはこの"文化の違い"を体系的、論理的に説明した"The Culture Map(邦訳:異文化理解力)です!
外人といえば欧米人、欧米人といえばアメリカ人!そう思っているあなたは必読の書です。
著者は文化の違いを、コミュニケーション、褒め方、説得の仕方など8つの視点から切り込んでいきます。
この本において最も特徴的と言えるのは、文化の違いを横軸のスケールを用いて表しているところでしょう。
例えばコミュニケーションにおいてlow context(横軸の左端。アメリカのように、伝えたいことは全て言う必要がある)、high cocntext(横軸のほぼ右端。日本のように、言わなくてもわかる、阿吽の呼吸を大事にする)文化に大きく分けられます。しかし、イギリスも左よりではありますが、相対的に見るとアメリカより右側であり、イギリス人から見るとアメリカ人はhigh contextな文化に見える、といった具合です。
どの面においても自分の文化が相手の文化の右にあるのか、左にあるのか、どれくらい離れているのかを知る必要がある、とされています。
読み終えて、本当に新たな発見だらけでした。
コミュニケーションにおいてlow contextからhigh contextなどに分かれることは知っていましたが、学び方、褒め方までここまで多様であるとは驚きでした。
何より、欧米人、アジア人、というように大きなくくりで捉えることは不可能であると気づかされました。
今後、国際的な仕事に関わる機会が増える(予定)の自分にとってはバイブルになりそうです。
The Culture Map (INTL ED): Decoding How People Think, Lead, and Get Things Done Across Cultures
- 作者: Erin Meyer
- 出版社/メーカー: PublicAffairs
- 発売日: 2016/01/05
- メディア: ペーパーバック
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異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
- 作者: エリン・メイヤー,田岡恵,樋口武志
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/08/22
- メディア: 単行本
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